アコウダイ その1
2024年2月23日 6::00-13:00
本日はアコウダイです。水深500-700 mに生息する深海魚ですね。釣り人の間では単に「アコウ」と呼ばれることが多いです。釣りあげた際に水圧の変化により眼が飛び出ることから「メヌケ」と呼ばれることもあります。前回,前々回は直線距離で数m,ともすれば陸から目視できるほど近くにいることもある魚がターゲットでした。今回はその距離600 m,ほぼ暗黒の世界に鎮座する赤い宝石を相手にします。ロマンですね。

そんなわけで今回は三重県熊野灘にやってきました。6時出船で1時間弱移動してポイントに到着。前日のまでの予報通り雨が降っており,ウネリあり風ありと結構荒れております。写真に写っているのは同行頂いた置き竿マスターのYさんです。Yさんは昨年秋からこの釣りにどっぷりハマリ,年が明けてからはほぼ週1のペースでアコウ釣りをされている猛者です。1週間前には10本釣ったとか。羨ましい。
この日は私とYさん以外にお客さんが一人,船長も参戦して4人での釣りです。

仕掛けに餌をセットして準備完了。船長の合図を待ちます。

Yさんは欲張り仕様の15本針。会う度に針が増えていっています。ちなみに私はアンチトラブル仕様で8本針。
写真を撮りながらうろうろしていると船長から合図がありトモ(船尾)のお客さんが投入。深海釣りではオマツリを避けるため,船を走らせながら,つまり仕掛け同士の間隔を空けながら順番に投入していきます。全員の投入が終わると走ってきた方向に少し戻り,最終的には船を起点に仕掛けが扇状に出ている状態を作ってやることで2-3 m間隔で並んだ釣り人が600 m糸を出してもお互い絡まないというわけです。ほとんどの釣り人は糸が斜めに出ている状態になりますが,600 mの糸の抵抗で錘を底から離しても仕掛けが垂直になることはありません。
この船は前進打ちなのでトモ(船尾)から順番に打っていき,ミヨシ(船首)の私は最後です。全員無事に投入が終わり釣り開始。

水深はトモ(船尾)の投入点が620,ミヨシ(船首)が590 mとアナウンスがありました。実際出た糸も概ね水深と同じくらいで潮はかなり緩め。アコウダイはカケアガリ(海底が傾斜しているところ)に付く魚で,基本的は水深に変化のあるところを狙います。1投目は船首と船尾の投入点で30 mの水深差があるということですね。投入点の水平方向の距離は体感で数十mくらいか?今度船長に聞いておきます。
底べったりというわけではないのですが,海底付近にいる魚ですので,錘は海底スレスレ(数十cm)をキープして流していきます。錘を着底させてしまうと仕掛けが水平方向に移動せず,広範囲を探ることができないため,あくまで海底スレスレをキープすることが肝になります。
流し始めて数分でYさんに当たり。その後10分ほど流しますが他の3人は当たりなしで1投目を回収にかかります。私の竿は早巻で放っておいてYさんの竿を見に行きます。

そこそこ曲がっていて付いてそうな予感。15分くらいかけてようやく残り数m。Yさんが仕掛けを回収していくと赤い魚体が見えてきました。

1投目から手堅くゲット。流石置き竿マスターです。サイズは40 cm強といったところ。全身赤い魚体が美しい。
私も早く釣りたいところです。2投目も先ほどと同様にトモ(船尾)からミヨシ(船首)に向かって浅くなるポイント。ウネリがあるのでわかり辛いですが,海底をトレースするよう流していきます。
2投目も当たりの先陣を切ったのはYさんで船長もそれに続きます。当たりがあった二人は糸を送り込んで連掛け狙いモード。深海釣りでは仕掛けの着底,回収に時間が掛かるため,一日に10投もできません。そのため,針の数は最低でも10本前後の多本仕掛けを用いて連掛けを狙います。アコウ狙いの場合は魚が海底付近にいるため,糸を張った(仕掛けが立った)状態では上の針には食ってきません。そのため,1匹掛かると糸を送り込むことで仕掛けを寝かせ,上の針にも食いつかせるという方針をとります。
その後数分流すも私の竿には当たりなし。回収前に「当たりのない人も全員糸送って」との指示があり,送り込んでいきます。

潮は全然走っていないので出す糸の量は控えめに。あまり期待していませんでしたが,数m送り込んだところで私にも当たりがありました。
しばらく待って回収にかかります。さあ付いているか。

意外と重そうにしているぞ。これは期待できるか。
果たして回収した仕掛けには2匹付いており,早くもお土産確保。一安心です。

大きいほうは50 cm弱くらい。残り50 mのところでYさんとオマツリしてしまい,PEを切って最後は手で回収しました。Yさんもやっぱり釣って2匹確保。
続いて3投目。今回は私が最初に当たり早々に送り込んでいきます。送り込んでからも複数回当たりがあり,今回も連掛けできている予感。その後しばらく流してYさんと船長も当たった模様。

回収すると期待通り2匹付いていました。右側は和歌山の釣り人がいうところのメヌケですね。眼が抜けてないのにメヌケ。なぜだろうか…
ここまで3投で4匹と今までにないハイペースで釣り,「今日は2桁達成か」と密かな期待が芽生え始めます。しかしそう甘くないのが釣りあるある。4投目以降は全く当たりがなくなりました。


波も高くなってきてコンディション悪し。
「天気も食い悪いので次でラストにします」と船長。最後に釣って気持ちよく終われるか。ラストの7投目。底潮が動いておらず数分流してもほとんど水深の変化がありません。これは期待薄か…
せめて縦方向に誘いをかけるべく数m巻き上げてストンと落とすとコンコンコンとまさかのいい当たり。

よく曲がってます。1匹は付いているでしょう。

連掛けはなかったものの,最後に良型が釣れて大満足。
終始雨が降りコンディションは最悪でしたが,終わってみればトータル5匹と十分な結果を得ることができました。ついでに竿頭もとれて内心満面の笑み。雨の中頑張った甲斐がありました。

【本日の道具立て】
竿:スーパーディープクルーザー2(アルファタックル) リール:フォースマスター9000(シマノ) 道糸:PE8号900 m 仕掛け:24号8本針,枝60 cm(20号),枝間150 cm(幹糸30号),捨て糸120 cm(16号)